AIで作った社内文書が読みにくいのはなぜ?直し方と指示文
生成AIで作ったお知らせや社内文書が読みにくいときは、多くの場合「誰が・何を・いつ・どうするか」が文章に書かれていません。言い回しを整える前に、その4つが一文目から読み取れるかを確かめてください。この記事では、AIの文章によく出る4つの書き方と、AIに自分の文章を直させる指示文を紹介します。
AIの文章が読みにくくなる理由
生成AIは、渡された情報が少ないと、中身の代わりに「それらしい言い回し」で文章を整えようとします。その結果、印象は強いのに、読み終えても何をすればよいのか分からない文章になります。
口頭で補足しながら見せる場合は、これでも伝わることがあります。ところが、お知らせや掲示物、メールは、書いた人がいない場所で読まれます。社員やお客様が文章だけを読んで、自分が何をすればよいかを判断できるかどうかで考えてください。
よく出る4つの書き方と、直した例
どれも架空の例です。直した例では、元の文章に書かれていないことは足していません。足りない情報は、書く人が決めて補います。
1. 否定から入って、本題がなかなか出てこない
今回の価格改定は、単なる値上げではありません。品質を守り続けるための選択です。
11月1日の納品分から、〇〇の単価を1個120円から130円に改めます。原材料の仕入れ値が上がったためです。
読み手が最初に知りたいのは、何が・いつから・いくらになるかです。「〜ではありません」で始まる前置きは、誤解を解く必要があるときだけ残します。直した例の日付・金額・理由は、書く人が自社の事実を入れる箇所です。
2. たとえの言葉で、誰が何をするのかが分からない
現場の声を、仕組みが拾い上げます。
各店舗の日報に書かれた要望を、本部の担当者が毎週月曜にまとめます。
「拾い上げる」「寄り添う」「橋渡しする」のような言葉は、実際に誰がどんな作業をするのかを隠してしまいます。動く人と作業の名前に置き換えてください。
3. 短い文を並べて、調子だけを整えている
確認は早く。返信は短く。それが信頼の第一歩。
お客様からの問い合わせには、受け付けた日のうちに返信してください。内容の確認に時間がかかるときは、受け付けたことだけを先に伝えます。
広告の見出しのような短い文は、社内のルールとしては使えません。「早く」が何時間以内なのか、「短く」がどの程度なのかを、読む人が決めなければならないからです。
4. 抽象的な言葉だけで、中身が書かれていない
業務フローを最適化し、生産性の最大化を図ります。
見積書は、これまで営業担当が一から作っていました。来月からは、営業担当が品目と数量を入力し、事務担当が清書して送ります。
「最適化」「見える化」「効率化」は、何をどう変えるのかを書いたあとで、まとめの言葉として使えば十分です。
AIに直させる指示文と、出力の例
AIが書いた文章は、AIに直させることもできます。次の指示文の【文章】に、直したい文章をそのまま貼ってください。
あなたは社内文書の校正担当です。下の【文章】を、意味を変えずに読みやすく直してください。 守ること 1. 【文章】に書いてあることだけを使う。日付・数字・名前・条件を足さない、変えない 2. 一文目に、読み手に一番伝えたいこと(何が・いつ・どう変わるか、読み手に何をしてほしいか)を書く 3. 「〜ではありません」「〜ではなく」から始まる前置きは、誤解を解くために必要なときだけ残す 4. たとえの言葉(「拾い上げる」「寄り添う」「橋渡し」など)は、誰が何をするかが分かる言い方に直す 5. 短い文を並べて調子を整えた箇所や、名詞で終わる文は、ふつうの文に直す 6. 元の文章より長くしない 7. 直した文章のあとに、線を引いて「文章から読み取れないため、書く人が決める必要がある点」を箇条書きで書き出す。推測で補わない 【文章】 (ここに貼る)
たとえば、次のような社内のお知らせをAIに直させるとします。
件名:受注フロー刷新のお知らせ 受注の仕組みを、変えます。 これは単なるルール変更ではありません。お客様との約束を、確実に守るための一歩です。 これまでの「言った・言わない」に、終止符を。 今後は、受注の情報がチャットに集約され、チーム全体で見える化されます。 スピードと正確さ。その両立が、私たちの次のステージです。
件名:受注の連絡方法の変更について 今後は、受注の情報を社内チャットに集めて、チームの全員が見られるようにします。 これまで、受注の内容を「言った・言わない」で確かめ直すことがあったためです。 受注の対応を早く、間違いなく行うことが目的です。 ―――――――――― 文章から読み取れないため、書く人が決める必要がある点 ・いつから変えるのか ・チャットのどこ(どのグループ)に書き込むのか ・誰が書き込むのか(電話で受けた注文は誰が入力するのか) ・書き込む項目(お客様名、品目、数量、納期など)
直した文章は短くなり、何が変わるのかが一文目で分かります。一方で、「いつから」「どこに」「誰が」は元の文章に書かれていなかったため、AIは書き出すだけにとどめています。この4点を決めて文章に足すと、社員が読んで動けるお知らせになります。
出力の例は、架空の文章を使って当社が生成AIで作った一例です。使うサービスや実行のたびに、文面は変わります。
思いどおりに直らないときの直し方
「足さない」と指示しても、AIが日付や担当者をそれらしく補うことがあります。直った文章を元の文章と並べ、日付・数字・名前・条件が増えたり変わったりしていないかを確かめてください。
何度直させても同じ調子の文章になるときは、社内で以前に書いた、読みやすいと感じるお知らせを1つ「見本」として一緒に渡してください。見本の書き方に寄せて直すようになります。
「書く人が決める必要がある点」がたくさん出るときは、言い回しより先に、伝える中身が決まっていない状態です。文章を整える前に、誰が・いつから・何をするのかを社内で決めてください。
社内で使うときに気をつけたいこと
部下の文章を「AIっぽい」とだけ伝えても、どこを直せばよいのかは伝わりません。「この『見える化』は、誰が何を見られるということ?」のように、読み取れなかった箇所を具体的に聞いてください。答えをそのまま書けば、読みやすい文章になります。
お客様や取引先に出す文章は、送る前に担当者が読み、自分の言葉として説明できるかを確かめてください。説明できない言い回しが残っていれば、その部分は書き直します。
お客様の名前や連絡先が入った文章をAIに貼ってよいかは、会社として先に決めておきましょう。