クレームの一次返信をAIで書くには、どう指示すればいい?
クレームへの最初の返信をAIで下書きするときは、AIに任せるのを「お客様の話の受け止め」「事実を確かめるための質問」「次にいつ連絡するか」までにしてください。原因の説明、返金や交換の約束、どこまで責任を認めるかは、担当者と責任者が決めてから書き足します。AIには「社内で決まっていないことは書かない」と指示するのがコツです。
一次返信をAIに丸ごと任せると、どこで困るのか
生成AIに「クレームへの返信を書いて」とだけ頼むと、丁寧さを優先して「すべて当社の不手際です」「返金させていただきます」のように、まだ社内で決めていないことまで書いてしまうことがあります。お客様のメールに書かれていない事情を、もっともらしく補って原因を説明してしまうこともあります。一次返信で約束したことは取り消しにくく、原因の説明が後から違っていれば、二度目のお詫びが必要になります。
一方で、一次返信が遅れる理由の多くは「どう書けばいいか分からない」ことです。怒っているお客様への文面を、気持ちが落ち着かないまま一から書くのは負担が大きく、後回しになりがちです。受け止めの言葉、確かめたいこと、次の連絡の予定という骨組みをAIに先に作らせると、担当者は中身の確認に集中できます。
実際に使う指示文と、出力の例
次の指示文の【お客様からの連絡】には、お客様のメールや電話のメモを、名前・住所・電話番号・注文番号を消してから貼り付けます。【社内で決まっていること】には、いつまでに誰が連絡するかなど、その時点で決まっていることだけを書きます。
あなたは当社のお客様窓口の担当者です。下の【お客様からの連絡】への、最初の返信メールの下書きを作ってください。 守ること 1. 最初に、ご迷惑をおかけしたことへのお詫びと、連絡をいただいたお礼を書く。お詫びの言葉は1回だけにする 2. お客様が困ったことを、お客様の言葉を使って1文で受け止める 3. 原因を推測で書かない。「当社の責任です」と認める文も書かない 4. 返金・交換・値引き・再訪問などの対応は約束しない。【社内で決まっていること】に書いてあることだけを書く 5. 事実を確かめるために、お客様に聞きたいことを3つまで箇条書きにする 6. 次に、いつ、どの方法で連絡するかを【社内で決まっていること】から書く 7. 返信の本文は400字以内。言い訳に聞こえる言い回しは使わない 8. 返信の下書きのあとに、線を引いて「社内で確認が必要なこと」を書き出す 【お客様からの連絡】 (名前・住所・電話番号・注文番号を消して貼り付け) 【社内で決まっていること】 (例:配達の記録を確認し、明日17時までに電話で連絡する)
たとえば、仕出し弁当の会社に次のようなメールが届いたとします。会社名・内容はすべて架空です。
【お客様からの連絡】 昨日注文した会議用のお弁当20個、届いたのが予定より40分も遅れました。会議に間に合わず、参加者に配れなかった。しかも2個は汁がこぼれていました。どうなっているんですか。 【社内で決まっていること】 ・当日の配達の記録を確認し、明日17時までに電話で連絡する ・連絡するのは営業担当の[担当者名]
件名:お弁当のお届けの遅れについてのお詫びとご確認 [お客様名]様 このたびは、ご注文のお弁当のお届けが遅れ、会議で参加者の皆さまにお配りいただけなかったこと、また2個のお弁当の汁がこぼれていたことで、大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ございません。ご連絡をいただき、ありがとうございます。 現在、当日の配達の記録を確認しております。正確に把握するため、次の点を教えていただけますでしょうか。 ・お弁当が届いたおおよその時刻 ・汁がこぼれていたお弁当の種類と、容器や袋の状態 ・お手元にあれば、届いたときの写真 確認した内容とあわせて、明日17時までに、担当の[担当者名]よりお電話でご連絡いたします。 ―――――――――― 社内で確認が必要なこと ・配達記録の出発時刻と到着時刻、遅れた理由 ・汁がこぼれた原因(容器のふた、積み方、運転) ・代金の扱いと次回のご注文への対応(責任者が判断)
[お客様名]と[担当者名]は、出力のあとで自分で書き足します。「社内で確認が必要なこと」は、そのまま社内の確認メモとして使えます。代金をどうするかは、確認が終わってから責任者が決め、電話でお伝えする内容に入れます。
出力の例は、架空のお客様の連絡を使って当社が生成AIで作った一例です。使うサービスや実行のたびに、文面は変わります。
思いどおりに出てこないときの直し方
「約束しない」と指示しても、「返金いたします」「次回は無料でお届けします」のような一文が入ることがあります。その文は消してから送ってください。繰り返し起きるなら、指示文の最初の行に「返金・交換・値引きの言葉は書かないこと」と一文を足すと出にくくなります。返品や交換の社内の決まりがあるなら、【社内で決まっていること】に書いておけば、その範囲で書くようになります。
お詫びの言葉が何度も重なり、長くて読みにくい文面になることもあります。お詫びを重ねるほど誠実に見えるわけではありません。字数の上限を300字に下げると、要点だけが残りやすくなります。
反対に、事務的で冷たい文面になったときは、2の「お客様が困ったことを1文で受け止める」が抜けていないかを見てください。この例なら「会議で参加者に配れなかった」という一言を返信に入れるかどうかで、読んだときの印象が変わります。
お客様の連絡が長く、怒りが強いときは、いきなり返信を作らせず、先に「お客様が求めていることを3つにまとめて」と頼みます。まとめを担当者が確かめてから返信を作らせると、的外れな返信になりにくくなります。
社内で始めるときに気をつけたいこと
お客様の名前、住所、電話番号、注文番号は、AIに入れなくても下書きは作れます。消してから貼り付け、送る前に自分で書き足してください。無料版や個人向けのプランでは、入力した内容がサービスの改善に使われる設定になっていることがあるため、どのサービスをどの設定で使うかを会社として決めておきましょう。
【社内で決まっていること】に何も書けない会社は、AIを使う前に「一次返信はいつまでに出すか」「誰が電話をかけるか」「代金の扱いは誰が決めるか」の3つを決めておくことをおすすめします。AIを使うかどうかに関係なく、担当者によって対応がばらつくことを減らせます。
けがや体調不良、物の破損による損害が関わる連絡は、AIの下書きで済ませず、最初から責任者が対応してください。必要に応じて、弁護士などの専門家にも相談しましょう。
最後に、送る前に責任者が一度読み、約束していることがないか、お客様の書いた事実と違うことがないかを確かめてください。
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