手順書をAIで作るには、何を渡してどう指示すればいい?

手順書をAIで作るときは、その仕事に慣れた社員にやり方を口で話してもらい、話した内容を文字にしてAIに渡します。指示文には「説明にない手順を足さない」「1つの番号に1つの動作を書く」「説明に書いていないことは『確認したい点』に書き出す」の3つを入れてください。できた手順書は、話した本人が読み直し、新しく入った人に一度その手順で動いてもらってから仕上げます。

手順書づくりをAIに任せると、どこで間違えるのか

生成AIに「〇〇の手順書を作って」とだけ頼むと、どの会社にも当てはまりそうな一般的な手順が並びます。「手指を消毒する」「パスワードを入力してログインする」のように、御社では実際にやっていない手順が入ることもあります。新しく入った人がその手順書を読むと、書いてあるとおりに動こうとして、実際の作業と合わずに迷います。

反対に、慣れた社員が口で説明した内容をそのまま書き起こすと、話した順番が前後したり、「あれ」「いつものところ」のような言葉が残ったりします。説明した本人には分かっても、初めての人には分かりません。

話した内容を、番号付きの手順に並べ替え、分かれ道(「〜のときは」)を手順の下に整理する作業は、AIに向いています。どの手順をやるかは慣れた社員が決め、AIには並べ替えと書き直しだけをさせます。

実際に使う指示文と、出力の例

まず、その仕事に慣れた社員に、やり方を3〜5分ほど話してもらいます。スマホの音声入力やメモアプリの録音で文字にし、次の指示文の【説明】に貼り付けます。お客様や利用者の名前、鍵の暗証番号や警備の解除番号は、貼る前に消すか「〇〇」に置き換えてください。

指示文(コピーして使えます)
あなたは当社の事務担当です。下の【説明】は、ある仕事に慣れた社員が、そのやり方を口で話した内容です。これを、初めてこの仕事をする人が読んで、そのとおりに動ける手順書にしてください。

守ること
1. 【説明】に書いてあることだけを使う。説明にない手順・注意・理由を足さない
2. 時刻・回数・場所・色・物の名前は、説明の言い方のまま書く
3. 番号付きの手順にし、1つの番号には1つの動作だけを書く
4. 「〜のときは」という分かれ道は、その手順の下に「※」を付けて書く
5. 置き場所や機械の見た目が分からないと迷いそうな手順には、末尾に【写真】と付ける
6. 次の順で書く
  (1) 仕事の名前
  (2) いつやるか
  (3) 準備するもの
  (4) 手順
  (5) 確認したい点(初めての人が迷いそうなのに、説明に書いていないこと)

【説明】
(話した内容を貼り付ける)

たとえば、職員8人の訪問介護事業所で、事務の担当者が「朝の開所準備」のやり方を話したとします。事業所・内容はすべて架空です。

渡した説明(架空・音声入力で文字にしたもの)
朝は8時15分くらいに来て、まず裏口の鍵を開けて、警備のやつ、入ってすぐ右の機械にカードかざして解除。で電気つけて、パソコンつける。留守電が赤く光ってたら聞いて、伝言は全部メモ用紙に書いて、サ責さんの机に置く。急ぎそうなの、利用者さんのご家族からの休みの連絡とかは、すぐサ責さんの携帯に電話。FAXも見て、ケアマネさんからのは青いトレー。あと、ホワイトボードの今日の訪問予定を、シフト表見て書き直す。前の日に変更が入ってることがあるから。ゴミは火曜と金曜。郵便は10時ごろ来るから、それはあとで。
出力の例
(1) 仕事の名前
朝の開所準備

(2) いつやるか
朝、事務所に来てすぐ(8時15分ごろ)

(3) 準備するもの
・裏口の鍵
・警備のカード

(4) 手順
1. 裏口の鍵を開ける
2. 入ってすぐ右の機械に警備のカードをかざし、警備を解除する【写真】
3. 電気をつける
4. パソコンの電源を入れる
5. 留守番電話が赤く光っていたら、録音を聞く
6. 伝言を、すべてメモ用紙に書く
7. メモを、サービス提供責任者(サ責)の机に置く
 ※利用者のご家族からの休みの連絡など、急ぎそうなものは、すぐにサ責の携帯電話に電話する
8. FAXを確認する
 ※ケアマネジャーからのFAXは、青いトレーに入れる【写真】
9. シフト表を見て、ホワイトボードの「今日の訪問予定」を書き直す(前の日に変更が入っていることがあるため)
10. 火曜と金曜は、ゴミを出す

(5) 確認したい点
・「急ぎそうなもの」には、休みの連絡のほかに何が入るか
・サ責の携帯電話につながらないときは、誰に連絡するか
・ケアマネジャー以外からのFAXは、どこに置くか
・ゴミを出す場所と時間
・10時ごろに届く郵便の扱いを、この手順に入れるか

話した内容では「電気つけて、パソコンつける」が一続きでしたが、手順では3と4に分かれています。AIは「つながらないときは事務長に連絡する」のような手順を自分で足さず、(5)の確認したい点に回しています。説明からは決められないためです。(5)は、話した本人にもう一度聞いて、手順に書き足す項目として使えます。

出力の例は、架空の事業所の説明を使って当社が生成AIで作った一例です。使うサービスや実行のたびに、文面は変わります。

思いどおりに出てこないときの直し方

「説明にない手順を足さない」と指示しても、「手を洗う」「戸締まりを確認する」のような一般的な手順が混ざることがあります。できた手順書は、話した本人に1行ずつ読んでもらい、実際にやっていない手順を消してください。混ざる日が続く場合は、指示文の1のあとに「一般的に必要そうな手順も、説明になければ書かない。必要そうなら(5)に書く」と書き足します。

1つの番号に「〜して、〜して、〜する」と動作が2つ以上入るときは、指示文の3を「1つの番号には動詞を1つだけ使う」に変えてください。番号が増えても、初めての人には1つずつのほうが追いやすくなります。

手順書を使い始める前に、新しく入った人に一度その手順で動いてもらってください。手が止まったところと聞き返されたところを、話した本人が書き足します。書き足した内容を【説明】の最後に加えて、もう一度AIに並べ直させると、番号を振り直す手間がかかりません。

【写真】と付いた手順には、スマホで撮った写真を手順書に貼ってください。AIには御社の事務所の様子が分からないため、どこに写真が要るかの目印だけを付けさせています。

社内で始めるときに気をつけたいこと

仕事のやり方を話すと、お客様や利用者の名前、住所、暗証番号が口に出ることがあります。AIに貼る前に、文字にした説明を読み、消すか記号に置き換えてください。会社として使うサービスと設定を決め、入力したものがどう扱われるかを確かめてから使ってください。

この記事の方法は、社内の仕事の進め方をまとめる手順書を対象にしています。法令や指定の基準、行政の指導で作成を求められているマニュアルは、求められている項目や様式に沿って作り、内容は御社で確認してください。

手順書ができたら、作った日と、話した人の名前を手順書の最後に書いておきます。やり方が変わったときに、誰に聞けばよいかが分かります。

手順書のほかに、AIが効く業務を一通り洗い出したい場合

当社の「業務AI診断」では、御社の業務を一通り洗い出し、AIが効く業務と効かない業務を仕分けて、報告書にまとめます。

業務AI診断の内容と料金を見る

御社に当てはまるものはありますか

選ぶと、トップページの1分診断に移ります。業務ごとの向き不向きはAIで業務効率化のページにまとめています。

    相談する